飲水思源(いんすいしげん) という言葉をご存じでしょうか。「水を飲む時には源を考える」「井戸水を使う時には井戸を掘った先人の苦労を忘れない」という中国・古来からの格言です。

 私たちの暮らしは、朝一番の顔洗いから夜のお風呂、そして洗濯や衛生確保に水はなくてはならないものです。蛇口をひねったらいつでもどこでも水を手にいれられる今の暮らしに私たちは感謝をしたいと思います。特に関西では全人口の7割以上の1450万人が琵琶湖・淀川水系の水源に依存しておりますが、水質も比較的良好に維持され、渇水もほとんどない今の関西では、水源のことはついつい忘れがちです。 

 しかし今、その水源に新たな危機が迫っています。琵琶湖・淀川水系の北端にある安曇川・高時川・杉野川源流部では西日本でも最大規模ともいえる、樹齢数百年のトチノキなどの巨木林やブナ林が,水源涵養の役割を果たしてきました。そのトチノキの巨木が、今、装飾材などとしての利用を目的に伐採の危機にひんしています。伐採された場合は琵琶湖・淀川水系だけでなく全国の巨木群の保全にとっても重大な悪影響が発生します。 

 これらの水源林は自然に放置されて残されてきたわけではありません。栃の実などを貴重な食料とする地元生活者による利用と保全があったからこそ、守られてきたのです。これら水源地域の森林と巨木群、森林と共生した暮らしとその文化は、次世代に引き継ぐべき極めて貴重な伝統です。 

 平成28年2月24日に設立された「びわ湖源流の森林文化を守る会」は、琵琶湖源流の巨木群を森林文化とともに保全するため、巨木群40本のトラストをする決意をしました。

  皆さまからのご寄付は、訴訟終了に伴う負担金、巨木群保全や、裁判のための費用(弁護士費用を含む)に使わせていただきます。共同代表の嘉田由紀子が所有権を取得した巨木40本は、私たちが責任を持って保全し、将来的には、未来永劫保全を図れるようトラストを行う公益法人等へ寄付する予定です。

 皆さまのご理解をいただき、「貴重なトチノキ巨木をこれ以上伐採することなく次世代に受け渡したい」という強い思いを全国に広げていきます。皆さまの熱いご支援、お願いします。